多重債務。この言葉がどういう状態を意味するかきちんと説明できるでしょうか。
多重債務とは複数の業者から借り入れをしていて、返済が困難になっている状態のことを指します。
この記事に辿り着いたあなたももしかしたら、借り入れの返済がスムーズにいっていないのかもしれませんね。
当記事では、多重債務にまつわる基礎知識に加え、具体的に多重債務から抜け出す方法や、債務整理に踏み切るボーダーラインについても記載していきたいと思います。
この記事を読んでいただいたことをきっかけに、あなたの生活が1日でも早く楽になることを願っています。
多重債務とは?

多重債務とは、『全国銀行協会』の定義によると、多重債務は複数の業者から借り入れをしていて、返済が追いついていない状況のことです。
当然ながら、多重債務に陥った場合、借金の額は雪だるま式に増え続けます。
最終的にはもはや手がつけられなくなり、債務整理に踏み切る他ないという未来も考えられるでしょう。
「絶対に借金は1件だけにする!」
「今回で借金は終わりにする!」
このようにどれだけ強い決断を下しても、想定外の出費やアクシデントが重なり、やむを得ず新しい貸金業者の扉を叩いてしまう可能性は誰にでもあるもの。
仮にあなたが多重債務の状況下にあっても、必要以上に自分を責めないでください。
まずは現在地からどのように、より良い未来を作っていくかを前向きに考えていきましょう。
自分が多重債務に陥っていないかのチェックポイント

本題に入る前に、あなた自身が多重債務に陥っていないかのチェックポイントとして、以下の項目を確認してみてください。
- 収入と出費を把握していない
- 無駄な固定費が多い
- 借金を借金で返済している
「え!これ私のことじゃん!」
と図星を指されてしまった方もいるかもしれませんね。
ご自身のお金の管理を見直す良い機会です。ぜひ以下の内容と正面から向き合っていただき、今日この瞬間から生まれ変わりましょう。
収入と出費を把握していない

あなたはまさか、どんぶり勘定で日々の支払いを進めていないでしょうか。
「ギクリ!」と思われた方は一旦この記事を読むのをストップしていただき、先月の収入と出費を算出してみてください。
少しでもプラスが出ていれば徐々に事態は好転していきますが、少しでもマイナスなら借金地獄への序曲が始まっています。
ごくごくシンプルな話ですが、収入-支出の答えが常にプラスになるようにコントロールするのが、あなた個人を経営するということです。
- 毎月の収支をきちんと把握することがスタートライン
- 収入-支出の答えが常にプラスになるようにコントロールする
実際にやっていただければ分かりますが、支出を可視化するようになった途端、急激に無駄な出費に対するアンテナが敏感になるものですよ。
無駄な固定費が多い

いつも家計およびメンタルが安定している人は、以下のような固定費に対して常に無駄がないか、目を光らせています。
- 住居費
- 通信料金
- 電気代
- ガス代
- 水道代
- 保険料
- 各種ローン
- VOD
- オンラインサロン
たとえば通信料金。あなたはまさか、綱渡りのやりくりをしているにもかかわらず、格安SIMへの変更手続きを躊躇していないでしょうか。
大手キャリアプランから格安SIMに乗り変えても、そこまで大きな変化はありません。「多少、通信スピードが落ちているかも?」という微細な感覚の差がある程度です。
ちなみに格安SIMに関する著者の体験と所感は、「なんでもっと早く変えなかったんだろう!めちゃくちゃ固定費の無駄だった!」です。
私が大手キャリアプランから格安SIMに乗り換えた時は、携帯代金だけで毎月の固定費が5,000円節約できました。1年間なら60,000円が手元に余る計算ですね。
「浮いた60,000円で何をしよう!」
とワクワクしたことは今でも記憶に新しいです。ぜひあなたも、上記で列挙した各項目に対し、シビアな目線で節約の余地を見出してみてください。
借金を借金で返済している

ラットレース。
働いても働いても一向に資産が増えない状態を指したワードですが、借金を借金で返済する行為はラットレースを凌駕するほどに過酷な状況ではないでしょうか。
「そんなこと言ってもお金がないんだからどうしようもない!」
とシャウトしたくなる気持ちはもちろん分かります。
だからこそ、現状を冷静に見つめていただきたいのです。借金を借金でごまかしている限り、元金が全く減らないのはもちろん、返済額だけがどんどん重くのしかかってきます。
借金のための借金は決して、明るい未来には繋がりません。未来を変えるための方法は大きく3つです。
- 大きく収入を伸ばす
- 劇的に出費を減らす
- 債務整理に踏み切る
収入や出費にテコ入れが難しそうなら、債務整理を前向きに検討する段階と言えるでしょう。
多重債務から抜け出すのは難しい!債務整理を決断すべき基準
ゲームの無限ループのごとく、一度多重債務のループにハマってしまうと、なかなか抜け出すことはできません。
それもそのハズ。今、多重債務に陥っている方は、そもそもお金に困っていたからこそ、借金に手を出したのです。
収入や出費に大きな変化がない限り、お金のやりくりに難航していた方が、あちこちから請求がくる多重債務をクリアするのは至難の業でしょう。
- 多重債務からはなかなか抜け出せない
- お金のやりくりに難航していた方が、多重債務をクリアするのは至難の業
以上を踏まえ、債務整理を決断すべき基準は次の通りです。
- 収入を大きく伸ばす余地がない
- 固定費や無駄な出費は今以上にカットできない
- 現状の日々の延長線上でお金の問題が解決する日をイメージできない
上記に当てはまる方はぜひ、前向きな戦略として債務整理を考慮に入れてみましょう。
多重債務に陥っていれば専門機関に相談しよう!

もちろん、今すぐに債務整理を決断しろとは言いません。
まずは弁護士などの専門機関とコンタクトを取り、相談に乗ってもらうのがファーストステップです。
餅は餅屋。おそらくこの記事をご覧のあなたはお金や法律のプロではなく、何か別の分野に精通している方のハズです。
得意なこと以外の分野に関しては、堂々とプロを頼りましょう。
プロに相談を持ちかけるだけでもずいぶんと肩の荷が下りるでしょうし、もしかしたら想定していなかった解決策に辿り着けるかもしれませんよ。
- いきなり債務整理を決断する必要はない
- まずは弁護士などのプロに相談して状況を整理する
弁護士以外にも多重債務の相談窓口は多数ある
あなたの問題を解決に導いてくれるのは何も弁護士だけではありません。『金融庁の公式ホームページ』にアクセスしてみましょう。
ご覧の通り、日本司法支援センターや日本弁護士連合会の他、日本クレジットカードカウンセリングや全国銀行協会など、多数の公的機関があなたの心の支えとなってくれるのです。
多重債務に悩んでいるのはあなた一人ではありません。手を挙げれば必ず、誰かが寄り添ってくれます。
- 弁護士以外にも多重債務の相談窓口は多数ある
- 多重債務に悩んでいるのはあなた一人ではない
まずはピンときた場所で良いので、多重債務の相談を持ちかけてみましょう。
カウンセリングのプロフェッショナルに事情を話せば必ず、問題点に新しい角度から光が当たり、これから何をすべきかが明確になりますよ。
多重債務から債務整理をするまでの流れ

仮に多重債務から抜け出すために債務整理をする場合、大まかな流れは次の通りとなります。
債務整理までの流れ | 備考 |
---|---|
①専門家に相談する | 無料で相談できるところがほとんど |
②委任契約を締結する | 任意整理を弁護士に依頼する場合は、弁護士との間で委任契約を締結する ※着手金の費用の相場は1社につき15,000円程度 |
③受任通知送付/取引履歴の開示請求 | 弁護士から各債権者に対して受任通知(介入通知)および取引履歴の開示請求を送付 →債権者からの直接の取立てが停止されるため、一時的に返済の義務から解放される |
④引き直し計算 (正確な借金総額の確認) | 正確な借金の総額を確認 |
⑤過払い金返還請求 | 過払金が発生していることが判明した場合は、弁護士が債権者に対して過払い金の返還を求める 回収した過払い金は,弁護士費用等を差し引き,各債権者に対する弁済の頭金などに使われる |
⑥和解案作成および和解交渉 | 任意整理における返済条件を定める和解案を作成し、各債権者と交渉する 和解案では通常、36回以上の分割払いや利息のカットなどが定められるが、どこまで応じてもらえるかは債権者次第 |
⑦合意書完成 | 交渉成立後、言った言わないの論争を避けるために合意書を作成 |
⑧支払い開始 | 和解内容に基づく返済がスタートまずは弁護士への費用を支払い、その後に債権者への返済をする |
とにもかくにもまずは弁護士に相談です。
相談だけなら無料で乗ってもらえるので、現状とこれからすべきことをより正確に把握するためにもぜひ、一歩を踏み出してみてください。
債務整理のメリット

前項の内容を踏まえ、債務整理のメリットを挙げておきます。
- 弁護士に依頼した時点で取り立てがストップする
- 過払い金が返還される可能性がある
- 長期の分割払いで無理なく返済できる
- 借金の額が大幅に減少する
債務整理の手続きを決断するまでは勇気が要りますが、債務整理後は確実に、返済に関するストレスが激減します。
現時点でどうにもこうにも首が回らない状況下なら、債務整理を進める価値は大いにあると言えるでしょう。
債務整理のデメリット
もちろん、債務整理はメリットばかりではありません。以下のようなデメリットも理解した上で、債務整理を決行する必要があります。
- 手続きに費用がかかる
- 信用情報機関に債務整理の履歴が記録される
そもそも債務整理で借金の額を大幅に軽減できるため、弁護士への費用はさておき、根深いデメリットとしては信用情報機関に債務整理の履歴が記録される点です。
原則として債務整理後は5年間、その履歴がクレジットヒストリー(信用情報)に残りますから、和解成立後はクレジットカードの新規申し込みや各種ローンの申し込みは一切通らないと覚悟しておきましょう。
債務整理をした後の生活の変化

当記事最終項では以下の通り、債務整理をした後の生活の変化について、事前に確認していただきたいポイントをまとめました。
- お金のストレスから解放される
- 5年間はブラックリスト状態
- 債務整理が家族にバレるリスクは少ない
債務整理の良い点と注意点の双方をきちんと理解した上で、前向きな気持ちになれるなら決断しても良いでしょう。
それでは早速、各項目について詳しく見ていきますよ。
お金のストレスから解放される
債務整理の最大の魅力はなんといってもお金周りのストレスが激減することです。
あちこちから督促が来る多重債務の状態だと、心が休まる瞬間がありません。
仕事をしている時も、恋人と談笑している時も、一人で趣味に耽っている時でさえ、常に借金の問題があなたの頭を支配する。そんな日々は嫌ですよね。
もちろん、次項で深掘りする5年間のブラックリスト状態は債務整理の大きなデメリットです。
ただ、雪だるま式に増え続ける借金地獄の日々を耐え忍ぶよりも、心穏やかに5年間の時を過ごす方が確実にストレスフリーではないでしょうか。
- 債務整理の最大の魅力はなんといってもお金周りのストレスが激減すること
- 多重債務の状態は何をしてても借金の問題があなたの脳内を支配する
- 借金地獄の日々よりも5年間のブラックリストの方がストレスフリー
ぜひ一度、お金のストレスから解放される日々をありありとイメージしてみてください。毎日の笑顔の量が増えるのであれば、債務整理は価値のある大きな一手と言えるでしょう。
5年間はブラックリスト状態
債務整理の最大のデメリットとして、5年間のブラックリスト状態に陥る事実は無視できません。
債務整理で和解が成立すれば、向こう5年間は以下の制限を受け入れつつ、日々の生活を送ることとなります。
- 新規でクレジットカードを作成できない
- 手元にあるクレジットカードを利用できない
- 住宅ローンやオートローンなどの各種ローンを組むことができない
- 携帯電話やスマホの新規購入の際、分割払いの契約はできない
- 賃貸住宅の入居審査が通りにくくなる
住宅ローンやオートローンなどの大きな買い物はさておき、スマホの購入や賃貸住宅の契約の際にも影響が出てくる点には注意が必要ですね。
ちなみに賃貸住宅を選ぶ際のコツとしては、アプラスやオリコ、ジャックス、リクルートなどの信販系の家賃保証会社を利用している物件を避けること。
信販系の家賃保証会社は信用情報機関に加盟しており、入居審査の際に債務整理の事実がバレてしまうためです。
近々引っ越しを検討されているのであれば、債務整理の前に引っ越し手続きを済ませてしまうのも有効な方法と言えるでしょう。
債務整理が家族にバレるリスクは少ない

「債務整理は興味があるけど、家族にだけはバレたくない!」
このように思われている方もいるのではないでしょうか。
安心してください。以下のようなケースに配慮しておけば、債務整理の事実が家族にバレてしまうことはありません。
- 弁護士事務所名が記載された郵送物(弁護士費用請求書や和解契約書など)が届く
- 弁護士から自宅宛に電話がかかってくる
- 弁護士への支払いを滞納してしまう
- 債務整理後の返済が滞ってしまう
身内バレを避けたい旨を事前に弁護士に伝えておけば、うまく取り計らってくれるでしょう。
もちろん、弁護士への支払いや債務整理後の返済がスムーズに進まなければ、自宅や会社への連絡を回避することはできません。
債務整理に踏み切った以上、お金の問題は完全に根絶すると心に決めた上で、必要な支払いを徹底してくださいね。
多重債務に早く気づいて1日でも早く悩まない生活に戻ろう!
ここまでの内容をご覧いただいた方なら、現状を変えるためのアクションプランが見えてきたのではないでしょうか。
最後に振り返りを兼ねて、当記事のポイントをまとめておきます。
- 多重債務は複数の業者から借り入れをしていて、返済が追いついていない状況のこと
- 借金のための借金は解決策にならない
- 多重債務に陥っていれば専門機関に相談する
- 弁護士以外にも多重債務の相談窓口は多数ある
- 債務整理を弁護士に依頼した時点で取り立てがストップする
- 債務整理で確実にお金周りのストレスは激減する
- 債務整理のデメリットは5年間のブラックリスト状態
- 債務整理が家族にバレるリスクは少ない
多重債務で悩む日々はもう終わりにしましょう。まずは弁護士を始めとするプロに相談し、打開策を見出してください。
一人で悶々としていても、根本的な問題は一向に解決に向かわないですよ。