「奨学金が払えない時はどうすれば良いの?」
「奨学金が払えなかった場合、何かペナルティはあるの?」
このようなお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
実は、奨学金の滞納をすることはとてもリスクが大きく、信用情報まで傷をつけてしまうのです。だからこそ、払えなくても必ず対処する必要があります。
そこでここでは、奨学金が払えない時にどうすべきかについて、以下の内容を中心に解説を進めていきたいと思います。
- 奨学金の滞納は信用情報に大きく関わる
- 奨学金が払えない時の対策法
- 奨学金が免除になるケースはほぼない
「え!そうなんですか!」
と少しでも思われた方はぜひ、以下の内容を読み進めてみてください。
奨学金が払えない・滞納がマズいこれだけの理由

結論から言うと、奨学金を滞納し続けると様々なデメリットが生じます。具体的には以下の通りです。
- 信用情報に傷がつく
- 決して安くない利息が生じる
- 連帯保証人へ請求がいく
- 一括返済をしなければならなくなる
ご覧の通り、奨学金の滞納によってどれもこれも思わず頭を抱えてしまいそうになる問題ですよね。
早速、それぞれの項目について解説を進めていきましょう。
奨学金を滞納すると信用情報に傷がつく

「え!奨学金の滞納も信用情報に関わるんですか!」
と驚きを隠せない方もいるかもしれませんが、残念ながらその通りなのです。
信用情報に傷がついてしまうのは何も、クレジットカードや携帯電話料金の分割払いを滞納した場合だけではありません。
実際に、『日本学生支援機構の公式ホームページ』に目を向けてみると、以下の内容が記載されています。
延滞3か月以上の場合に個人信用情報機関に個人情報が登録される
個人信用情報機関に延滞者として登録されてしまった場合、その情報を参照した金融機関等から経済的、社会的信用が低いと判断されるケースがあります。
それによって、以下のようなデメリットが生じるのは言うまでもありません。
- クレジットカードの審査に通過できない
- クレジットカードの利用が止められる
- キャッシングが利用できなくなる
- 自動車ローンや住宅ローンなどを組めなくなる
このように信用情報に傷がついてしまうと、後々になって困ることが多いのです。
決して安くない利息が生じる

お金の貸し借りにおいては当然のことではありますが、奨学金を延滞してしまうと、決して安くはない利息が生じることになります。
具体的には、延滞によって2.5%〜10%の利息が生じるため、奨学金の額面によっては相当な負担となることもあるでしょう。
利息の割合は奨学金の種別や採用年度に応じて異なるため、詳しく知りたい方は『日本学生支援機構の公式ホームページ』を参照してみてください。
連帯保証人へ請求がいく

奨学金を延滞してしまうと、連帯保証人へ請求書が送付されてしまいます。
「まさか連帯保証人に迷惑をかけてしまうことになるなんて!」
と過去を悔やまれる方もいるかもしれません。
しかし、既に滞納してしまったことは事実ですし、支払うべき物は綺麗に清算する必要があります。
ここまでくると、きっちりと連帯保証人とコミュニケーションを取り、どのように奨学金を支払っていくかを伝える必要がありますね。
一括返済をしなければならなくなる

「え!一括返済だなんてそんな無茶な!」
と思われる方もいるかもしれませんが、『日本学生支援機構の公式ホームページ』にしっかりと、以下の内容が記載されています。
督促にも係わらず返還に応じない場合は、返還期日が到来していない分を含めた返還未済額(発生済利息を含む)及び延滞金について、全額一括での返還を請求します。
そう。元々支払う予定だった奨学金の金額に加え、延滞分も含めた額を一括で返還しなければならなくなるのです。
こうなってしまうともはや、対処のしようがなくなる方もいることでしょう。
大切なのは、遅くとも3ヶ月以上の延滞をしてしまう前に、早めに対処法を講じることです。
奨学金が払えない状況になった時の対処法

「具体的にどうやって対処すれば?」
と思われている方もいることでしょう。
そこでここでは以下の通り、奨学金が払えない状況になった時の対処法について紹介していきたいと思います。
- 奨学金相談センターに相談する
- 減額申請や猶予申請をする
- お金を工面する
早速、それぞれの項目について解説を進めていきますよ。
奨学金が払えなくなる前に相談したい場所

奨学金が払えなくなる前に相談したい場所として、奨学金相談センターがあります。
ここでは、貸与・給付、及び返還に関する相談に応じてもらえるため、奨学金が払えなくなる前に活用したいところです。
場合によっては、「そういう方法があった!」と膝を打つような対処法を教えてもらえる可能性もあるため、一人で悩まず、傷が浅いうちに相談しておきましょう。
- 0570‐666‐301(海外からの電話、一部携帯電話、一部IP電話からは03‐6743‐6100)
- 月曜~金曜:9時00分~20時00分(土日祝日・年末年始を除く)
奨学金の減額申請や猶予申請をする

奨学金が期日までに支払えない場合、減免申請や猶予申請を出すという手もあります。
減額返還制度 | 毎月の返還額を減額して返還することができる制度 災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方のうち、提出する証明書が一定の要件に合致している方に適用。 1回の願出につき、適用期間は12か月で最長15年(180か月)まで延長可能できる。 |
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返還期限猶予 | 一定期間返還期限を延期する制度(返還すべき元金や利息が免除されるわけではない) 災害や傷病、経済困難、失業などの事情が生じた場合、返還期限の猶予を願い出ることができる。 申請にはマイナンバーおよび所定の書類の提出が必要で、審査により承認された期間については返還の必要がなくなる。 |
「毎月の返済額がもう少し低ければなんとかなる!」という方は減額返還制度を、「一時的に返済できない事情がある!」という方は返還期限猶予を利用することで、ピンチを切り抜けることができるかもしれませんね。
お金を工面する
こちらは正攻法ですが、本職で得ている収入以外で、お金を工面する方法がないかを考えてみましょう。
たとえば、以下の方法などはどうでしょうか。
- 副業で稼ぐ
- 売れる物を探す
- 毎月の固定費を見直す
「本業以外の時間で比較的余裕がある!」という方は、日払いのバイトやクラウドソーシングなどを活用し、隙間時間で効率よく稼ぐのが良いでしょう。
「自宅に要らないものが結構ある!」という方は、部屋の掃除ついでに、大幅な断捨離に臨んでみましょう。
メルカリやラクマなどのアプリを活用すれば、すぐにでも臨時収入を得ることができます。
あなたにとってはゴミだと思うようなモノでも、「お金を出してでも買いたい!」と思っている人がいるかもしれません。
また、毎月の固定費を見直したり、無駄遣いをなくすというのは、長期的な視点から見ても非常に重要なことです。
たとえば、携帯電話を格安simに変えるだけで毎月10,000円近く浮かせることもできますし、サブスクリプション(月額サービス)の契約を解約することで、毎月数千円を捻出することも可能です。
そもそも、お金が追いつかなくなるのは、収入が足りないことも原因かもしれませんが、無駄が多いということが、根本的な問題です。
ぜひこの機会に、徹底的に無駄な出費を洗い出し、節約上手への一歩を踏み出しましょう。
参考» メルカリやラクマでメルカリやラクマで意外と高く売れるものリスト!今すぐ金欠状態を脱する為に所持品を売ろう!
奨学金が免除になるケースはほとんどない
奨学金の返済に困っている方からすれば身も蓋もない表現ですが、残念ながら奨学金が免除になるケースはほとんどありません。
「え!そんな残酷な!」
と思われた方もいるかもしれまんが、奨学金が免除になるケースはごく稀で、以下のような場合に限定されるのです。
- 本人が死亡し返還ができなくなったとき
- 精神もしくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還できなくなったとき
そう。死亡または健康上に何らかの問題がある方しか、奨学金の免除を受けることはできないのです。
本人が死亡した時に必要な書類
万が一、奨学金を支払う必要のある本人が死亡してしまった場合は、どのような手続きが必要なのでしょうか。
こちらについてですが、相続人や連帯保証人の方が、以下の書類を提出することによって受理されます。
- 奨学金返還免除願(相続人、連帯保証人連署。機関保証制度加入者は相続人のみ)
- 本人死亡の事実が記載された戸籍抄本、個人事項証明書または住民票等の公的証明書(コピー不可)
住民票を提出する際には、個人番号部分を非表示とした住民票を取得した上で、日本学生支援機構に提出しましょう。
健康上の問題が発生した場合に必要な書類
奨学金を支払う必要のある本人に、健康上の問題が発生した場合に必要な書類は以下の通りです。
- 奨学金返還免除願(本人、連帯保証人連署。機関保証制度加入者は本人のみ)
- 返還することができなくなった事情を証明する書類(収入に関する証明書類。収入が一定額以上の場合は証明書類に加え、返還できない状況であることを証明する書類が必要)
- 医師又は歯科医師の診断書(日本学生支援機構所定の用紙で提出)
願出の内容によっては上記に加え、一般猶予の願出をしていただく場合もあることを踏まえておきましょう。
奨学金がどうしても払えない場合には自己破産の選択も
「色々と対処法を考慮してみたけど、本当にどうしようもない!」
と嘆かれている方もいるかもしれませんね。
そんな時には、思い切って自己破産をするという手もあります。
自己破産というワードに対して良いイメージを持たれている方は少ないと思いますが、活用次第では、退っ引きならない状況を打破する手段として機能してくれるものです。
自己破産のメリット・デメリット

「そもそも、自己破産ってどういうものなの?」
と疑問に思われている方もいることでしょう。
自己破産は簡単に言うと、裁判所で税金を除く全ての債務を免除してもらう手続きのことを指します。さらに平たく言えば、全ての借金をゼロにできるというわけですね。
もちろん、債務があれば誰でも申請が可能というわけではなく、裁判官が様々な視点から判断し、支払い不能だと判断された場合にのみ、自己破産が適用されます。
そんな自己破産ですが、借金がゼロになるという大きなメリットと引き換えに、以下のデメリットがあることも忘れてはいけません。
- 借入やクレジットカードの発行、ローン申請が5年〜10年できなくなる(ブラックリスト入り)
- 国が発行する『官報』という機関紙に住所氏名が掲載される
- 免責決定を受けるまで、警備員や士業など一部の職に就けなくなる
あくまで自己破産は最終手段

自己破産は確かに、手に負えない奨学金を何とかする為には手っ取り早い方法かもしれませんが、根本的な問題がどこにあるかを忘れてはいけません。
仮に自己破産をして一時的に借金から解放されたとしても、支出を減らす、収入を増やすといった家計の見直しをおろそかにしてしまうと、お金の問題から逃れることは難しいでしょう。
そもそも、なぜ奨学金の返済が滞るまでになってしまったのかという事に十分向き合った上で、最終手段として自己破産の道を選択する必要がありますね。
奨学金の滞納は社会問題にもなっている
奨学金の滞納に関する問題は非常に根深く、社会的にも幅広く認知されるほどに、大きな社会問題に発展してしまっています。
主な理由としては以下の2点が挙げられています。
- 70年代から繰り返される学費の高騰
- 90年代から減少し続ける家計の収入
支払いが増え続け、収入が減り続けるとなると、確かに返済が難しくなってしまうことは想像できます。
この奨学金の滞納問題に関して、学生機構がいくつかのデータを出しているため、そちらにも目を向けてみましょう。
奨学金の延滞が始まった理由のトップは家計の収入が減少したこと

『日本学生支援機構』の調査によると、奨学金の延滞が始まった理由のトップは家計の収入が減少したことにあることがわかっています。
- 1位:家計の収入が減った(67.8%)
- 2位:家計の支出が増えた(40.2%)
- 3位:入院、事故、災害など(19.9%)
- 4位:忙しかった(13.9%)
- 5位:返還を忘れていたなどのミス(9.9%)
- 6位:返還するものだと思っていなかった(3.8%)
- 7位:その他(27.5%)
※該当する理由は複数回答可
1位と2位の収入と支出の問題については大方予想がつきますが、6位の返還するものだと思っていなかったという理由がある点には驚きです。
奨学金制度を利用すれば、学費を無料にできると考えている方が少なからずいるという事実が伺えますね。
奨学金の延滞が継続している理由のトップは本人の低所得
続いて、奨学金の延滞が継続している理由についても見てみましょう。
- 1位:本人の低所得(64.4%)
- 2位:延滞額の増加(45.0%)
- 3位:本人の借入額の返済(29.3%)
- 4位:本人が失業中(無職)(24.4%)
- 5位:本人親の経済困難(本人が親を援助)(24.2%)
- 6位:本人親の経済困難(親が返済する約束)(23.8%)
- 7位:家族の病気療養(16.1%)
- 8位:本人が病気療養中(12.5%)
- 9位:配偶者の経済困難(8.4%)
※該当する理由は複数回答可
奨学金の返済がままならない理由は人それぞれに、それなりの事情があることが分かります。
1位の本人の低所得はなるほどと思わされますが、2位に延滞額の増加が理由に挙げられている点に注目です。
前述した通り、奨学金を延滞すると、2.5%〜10%の利息が上乗せされてしまいますから、利息が理由でさらに返還するのが難しくなるという厳しい状況なのでしょう。
また、3位に借入額の返済がきているところを見ると、切迫した状況の中でやむを得ず、カードローンや消費者金融に頼ってしまったという背景まで伺えます。
免除の条件が厳しいことも理由の1つ

先ほど示したデータには明記されていませんが、奨学金が免除される条件が非常に厳しいことも、奨学金を返済し切れない人の増加を後押ししていると考えられます。
本人の死亡もしくは、本人に健康上の問題がない限り、奨学金の免除は通らないとなると、努力を積み重ねてもどうにもならない人にとってはまさに八方塞がり。
最終手段を講じるしかなくなるのも理解が及びます。
奨学金を支払うのが難しくなってきている方は、以上の点を踏まえた上で、とにかく早めに対策を考えることが肝要と言えるでしょう。
奨学金が払えなくなったときのまとめ
奨学金が払えなくなった場合、以下のようなデメリットが生じてしまいます。
- 信用情報に傷がつく
- 決して安くない利息が生じる
- 連帯保証人へ請求がいく
- 一括返済をしなければならなくなる
「最悪の場合、奨学金の免除をすれば良い!」
とお考えの方もいるかもしれませんが、奨学金の免除は本人の死亡や健康上に深刻な問題がない限り、申請は通らないことを覚えておきましょう。
したがって、奨学金の支払いに関して少しでも雲行きが怪しいと感じたらすぐに、どうにかお金を工面する為に動き出すことが大切です。
現時点で奨学金の支払いに困っている方はぜひ、改めて本記事の内容を踏まえた上で、すぐにでも何らかの対策を講じましょう。